源太(げんだ)
梶原源太景季(かじわらげんだ かげすえ)は、源平の合戦で活躍した源氏の若武者。美男子として知られる。生田の森の合戦では、矢を入れる箙(えびら)に梅の花の一枝をさして出陣し、その風流ないでたちを敵の平家からも称賛された。 『源太』は文化5年(1808)、江戸森田座で三世坂東三津五郎が踊った七変化舞踊(七役を演じ分ける舞踊)のうちの一つで、今も坂東流で珍重されている。それまで変化舞踊はほとんど女形によって踊られていたが、これが当たって以来、立役(男役)の変化舞踊も次々と生まれた。 能の『箙(えびら)』は、源太の亡霊が生田の森の合戦を語るが、それをパロディにしたのが舞踊の『源太』。 生田の森の合戦話を所望され、おごそかに語り出したかと思いきや、廓話になり、傾城・梅が枝とのクドキ、痴話喧嘩を仕方噺(しかたばなし)で見せる。 曲中、当時の三世坂東三津五郎のライバルだった三世中村歌右衛門を皮肉った〽今年ゃ かぼちゃの当たり年(歌右衛門をかぼちゃだと言っている)……の歌詞があるので、『かぼちゃ源太』の俗称もある。