先々々代女将の長襦袢から

『昭和付喪神』シリーズに加わったショート編。
豪商・近江屋の女将に捨てられた古い長襦袢と、戦後の食糧難の頃に芋と交換された古い振袖が哀れにも滑稽な身の上話を始めます。
「振袖が締めているのは丸帯。今では目にしなくなりましたが、戦前までは一般的な正装の帯でした。表も裏も分厚い綴(つづ)れ織りで、2ℓ入りのペットボトルよりも重い! 20代のお金のない頃(今もないけど)、アンティーク屋で一目ぼれし、毎月コツコツお金を払い続けてやっと手に入れたものです」(冨起子談)

先々々代女将の長襦袢から